モダンボーイ
先日頼まれて出かけていった、デイケアーセンターで、紙芝居をやったとき、いつものように、下手な司会をしていると一番前の椅子に座っていたおばあちゃんから、いきなり声をかけられた、最初は何を言われたかよく判らなかったが、よく聞いてみると、「私は銀座の生まれよ。あなたはどこ?」と聞かれていたのだ。
当然ながら「横浜です」と答えると、いきなり「あなたは、モボね」と言われた。その瞬間判ったのだが、わざと聞きなおした。すると「私は銀座の生まれよ」と言う。「へーそうなのー」と返すと、今度は「あなたはモダンボーイよ」と云う、「えー、おれがー いなかっペーだよ」と返事すると「やぱり、モダンボーイよね」と言う、そこで私が「ありがとうね」と言うと、にこりとしていた。
その後、出し物が終わるたびにみなさんに話しかけていると、一番前のモダンボーイのおばさんが、何かと話しかけてくる。そこでこちらからも質問 「おばさん、何年生まれ?」 すると、「2年よ」と言う、「いつの2年なの」と聞くと「大正なのよ」との答え、比較的品のいい感じでもっと若そうなのだが、「もう直ぐ明治だったのよ」と言いながら「あんたはモダンボーイだねー」とくる。
そんなやり取りをしながらこの日の最後の歌も終って片付け始めたところで、後ろ向きなのにまた「モダンボーイ」と呼ぶ声が聞こえてきたが黙って片づけをした。
片づけを終って、みなさんの方を向くと3列くらい後ろの女性が何か話しかけて来た。よくきこえなかったので手を振って合図をしてあげたらニコニコとしてくれた。
すると、前列の3人が一斉に「ありがとう」と言う、そばによって行くと皆さんが一斉に手を出してきた。左の方から順に握手すると。「モボさん」と横で声がするので見ると、例のおばさんが同じように、手を出していたので握ってあげると、固く握って離さない、そして、なんとなみだ目になってしまった。あわてた私は、また来るからねと云うとやっと手を離してくれた。
そのときだけでなくいつもそう思うのだが、施設に来る老人たちの多くはやはり寂しいんだと。
昨年亡くなった母もきっとそうだったのだと思うとつらくなってしまう。
振り返って自分を見てみると時には、娘や孫に会いたいと思うことがあるのと本質は変らないのだなと思う。
自分も老人だが、これからも、このような人たちとのふれあいの機会を多く持ちたいと思う。
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